あそびの教室で
担当の保健士さんから
来年、トーマスくんを、
どこの幼稚園へ入れますか？
お兄ちゃんたちが、
A幼稚園へ行っているなら
トーマスくんも、
そこへ入れますよね。
あそこなら、トーマスくんのために、
先生を1人付けてくれますから。
と言われました。
A幼稚園
あそこは、
本当に素敵な幼稚園でした。
長男が幼稚園へ入れる歳になった時。
私は、どの幼稚園にしようか、
とても迷いました。
当時住んでいた所から
通える幼稚園はたくさんあり
それぞれが、
違った特徴を持った幼稚園でした。
短大付属の幼稚園
才能教育を行う幼稚園
早期教育を行う大規模な幼稚園
でも私が選んだのはA幼稚園
自然の中で伸び伸びと保育をしてくれる
幼稚園でした。
動物を飼って
子供たちに、その世話をさせたり
泥だらけになるまで
徹底的に遊ばせてくれたり
園の敷地内には、
クヌギの木が植えられ
秋にはドングリを拾って
ドングリ団子を作ってくれる幼稚園。
そこに、とっても魅力を感じたのです。
その幼稚園の母体は
障害者のための
作業所も運営していました。
それゆえ園児たちは、
近くの特別支援学校の子供たちと
交流をしていました。
A幼稚園は、
障害のある子に対して理解を示してくれる
とてもすばらしい幼稚園だったのです。
でも、私たち一家は
引越しを控えていました。
今度の家から、A幼稚園へ通うのに、
車で30分はかかります。
通園バスも、通りません。
長男は何とか卒園させるとしても
あと1年、次男を通わせ、
トーマスを3年間通わすには
かなりの負担になります。
私は、そのことを保健士さんに伝えると
そうですか、
幼稚園で専任の先生を付けてくれるのは
A幼稚園だけなんですよね。
そこがだめなら、
保育園しかありませんね。
保育園なら、
加配の先生を付けてもらえます。
と言われました。
これでトーマスの行く先は
保育園に決定してしまいました。
それでも入れるところがあるだけ
いいのかもしれません。
障害があるというだけで
突っぱねられることも
あるのですから。
毎日、親が付き添いを
しなくてはいけないところもあるでしょう。
先生を1人付けてもらえるだけで
有難いと思わなければいけないのです。
でも、保育園に入って最初の2年間。
私は、いつも惨めな思いをしていました。
悔しくて
家で、何度も泣きました。
無理をしても
自分が大変でも
A幼稚園に入れれば良かったと
何度も思いました。
障害児に理解を示してくれる園でないと
本当に辛い思いをします。
