自閉症の息子トーマスは
興味を持ったことについて、
真似をすることがあります。
初期の魔法使いサリーの37話に
東京マンガ通りというお話があります。
このお話の中に、
怖い物知らずの男の子が出てきて、
この子が、家の屋根から傘を差して
飛び降りるシーンがあるのですが、
自閉症の息子トーマスは
そのシーンが気に入ったのか、
小学校の低学年の時に
傘を差して
家のベランダから
飛び降りようとしたことがありました。
ベランダの手すりに
立っているのを発見して、
止めることができましたが、
気付かなったら、
絶対に飛び降りていました。
今、思い出しただけでも
ヒヤッとします。
私の胸の高さまである手すりに
どうやって上って、降りたのか
今でも謎です。
次にトーマスが気に入っていたのが
キテレツ大百科に出てくる勉三さんが、
川に落ちたシーン。(たぶん)
その時に、
ドボーンという音が
したのでしょうけれど
その後、トーマスは、
お風呂に入る度に浴槽の縁に立ち、
勉三さん、ドボーン
と言って、
お風呂に飛び込みました。
お風呂が壊れるといけないので、
止めるように何度も注意したところ
何とかやらなくなりましたが、
その後も、長い間、
勉三さん、ドボーン。
と言い続けました。
今は、勉三さんと
口にすることはあるけれど、
勉三さんドボーン
とは言わなくなりました。
さて、先日、私が出勤する時に、
トーマスを
彼の職場に置いて行った時のこと。
まだ時間が早かったので、
職場の玄関の鍵が開いていなくて、
車から降りたトーマスに、
私は、
玄関の前で待つように言いました。
ところが、トーマスは、
すぐ近くを流れる
用水路の縁に立ち、
その中をじっと見つめていました。
そんな所に立ったら
危ないじゃないと思った瞬間、
私は、トーマスが
勉三さん、ドボーン。
と言う声を思い出しました。
私は、慌ててトーマスに
そこに登ってはダメと注意すると
トーマスは素直に降りてくれました。
本当に飛び込んだら、
どうなっていたことか。
今、考えてもぞっとします。
30歳を過ぎても、
小さな子供のように
何をしでかすか分からないトーマスに
親はハラハラし通しです。